• 連載数:全5回
  • 紹介文:恋愛対象の基準というものは、実際の恋愛に合わせて千変万化していきます。じっくり考察していきましょう。
2014.11.14

理想的なリアリティ

写真誰でも恋愛をするときには、こんな出会いが欲しい、こんな恋愛がしたい、といった理想があることでしょう。
恋愛以前の状態で理想を持つことは当たり前のことですし、やがてその理想がより明確な条件、基準へと変化していくのもまた当然のことです。

恋愛に対して初心なころに抱くのは、いくらか現実味に乏しい理想であることが多いのですが、それはなぜでしょう?もちろん、一度も恋愛を経験していないのですから、現実味に乏しいのは仕方のないことですが、この時期には漫画やドラマ、アニメ、小説、流行歌など、恋愛をテーマにしたさまざまなメディアの嵐にさらされることもその大きな要因のひとつです。

ロマンチックな場所で、目の醒めるような魅力的な異性と出会いたい、と思うのは、それがいろいろなメディアで延々と描かれているからで、その時代その時代の流行はありますが、恋の初心者にとっては、そういった外部の情報ほど大きな影響をもつものはないのです。
しかし、仮想の物語と、現実とのあいだにはかならずギャップが存在します。
テレビで見たようなロマンチックな出会いも、実際に経験すると、意外と味気ないものであることも多く、そもそも、自分がそんなロマンチックな出会いをしていた、という事実にすら気づかないことも多いのです。
恋というのはあとから思い出してはじめてロマンチックを感じるのであり、そのときそのときに感じているようなロマンチックは、一時的なものであることが多く、また、一緒にいる相手のことにそれほど集中していない証拠でもあるのです。

こうして、何度か理想と現実とのギャップを経験すると、恋に対するそれまでの理想は色褪せていき、より現実的な条件となって浮かび上がってくるのです。
出会いやデートや記念日の過ごし方など、そういった要素に対する思いよりも、どれだけ将来が保障されるかが重要になり、ときにはあまりに現実的な自分に気づいてしょんぼりとしてしまうこともあるかもしれません。

しかし、いつまでも理想で終わらないのが恋の宿命です。
恋にはゴールが必要であり、そのためには現実的で地道な努力も必要とされてきます。
恋愛対象に対して基準を設定することは、その努力をより行いやすくするためのもので、ゴールにたどり着きたい以上、あって損はしない要素でもあるのです。

人は誰しもよりよい恋愛をしたいと望んでいます。
そして、よりよい恋愛とは、それまでの自分が抱いていた理想的な恋愛と違うことも多く、その違いを受け入れ、納得するためにも、基準を設定することが必要になってくるのです。

ロマンチックというのは、自分ひとりで感じるためのものではありません。
恋する相手がいてはじめて成立するものです。
恋に夢中になっているあいだは、そのロマンチックを感じることはむしろ少なく、ふたりで、ふとひと息ついたときにこそ感じることができます。
そして、歳をとればとるほど、恋愛における現実的な要素の比重も大きくなり、ときにはそのことでケンカをすることもあるほどですが、恋の継続があってこそのロマンチックです。
現実の基盤をしっかりとかため、そのうえでロマンスの花を咲かせたとしても、けっして遅くはないのです。

理想から現実へ、この変化があって、やっと本当の恋が生まれるのです。