• 連載数:全5回
  • 紹介文:恋人との年齢差は気にしますか?
2014.08.08

憧憬は未知への好奇心

写真 学生時代、部活動の先輩や、
若い新任の先生に憧れた経験があるという方も多くいらっしゃることでしょう。
多く、というよりも、ほとんど全員が、
とさえいえるかもしれません。
それくらい、成長期の少年少女にとって、
年上の人、というのは大きな存在なのです。

なぜでしょう?

ただ単純に、格好いいから、きれいだから、というだけではありません。
格好いい人、きれい人なら、
同じ学年にだってきっといるはずです。
それなのにどうして年上の人のほうにより強く惹かれてしまうのでしょう。
その理由は、未知のものに対する興味です。
学年がひとつ上の先輩というのはおおまかにいえば、
自分よりも一年長く生きている人ということになります。
そしてその一年のあいだに若者が経験する成長というのは、
思った以上に劇的なもので、
それは精神と身体の両方の変化を同時に伴うものなのです。
学年が一年違うだけで、人はだいぶ違います。
その違いに、学生たちは興味を持ち、やがて憧れを抱きはじめるのです。
未知との出会い、というものほど若者の興味をそそるものはありません。
未知とは、自分の知らない物や事だけでなく、人に対しても当てはまるのです。

では次になぜ若者は未知のものに引かれるのでしょうか。

未知との出会いには不安も付きものです。
しかし、恐いもの見たさ、という言葉があるように、不安を伴うものほど、
人は知りたいと思ってしまうものなのです。
そして、そのような欲求は、若いときほど強く働くのです。
一人の学生にとっては、自分自身の成長というのもまた未知のもので、
先輩や先生のことを知ろうとする行為は、
ある意味では、自分自身の未知の領域に入っていくことも意味しているわけです。
年齢の差、というのは、言い換えれば、自分自身の未来との差でもあり、
人にはそれを縮めようともがく時期があり、
それが青春の醍醐味のひとつであるのかもしれません。

学生時代、年上の人と付き合っている同級生はどこかしら大人びて見えたものです。
それはその同級生が自分にはまだない知識を得たからで、
そうなると今度は、その同級生が自分にとっては未知の存在となり、
憧れを抱く対象ともなってしまうのです。
しかし、人が歳をとり、多くの出会いを繰り返して大人になっていくと、
自分自身の未知との出会いも少なくなり、
それによって、学生時代のような、憧れからはじまる恋愛も少なくなっていきます。
自分自身も多くのことを経験しているわけですから、
他者との年齢差も気にならなくなり、ここに、青春期特有の憧憬恋愛は終焉を迎え、
恋愛というものをもっと現実的に考える時期に突入していくのです。
こうしてみると、人はその成長の過程で、年齢の差というものを利用して
自分自身を成長させていくようにも見えてきます。
自分よりも先に存在したものを知ることで、自分の存在をより確かなものにできます。
ですから、「年上の男性が好きだ」とか、
「年下の女性と付き合いたい」というふうに年齢差を強く意識して恋愛をしたがる人は、
自分自身がまだ成長の過程にあって、なにかしら足りないものを求めているのだ、
とも言えるわけです。